保護フェレット

正式譲渡決定

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いたち(フェレット)

保護された瞬間からずっと大切に想われてきたフェレット正式譲渡決定までのお話

アイキャッチでニコニコ可愛い今日の主役「ゆでたろう」ちゃん

先日、保管期間満了に伴い、そのまま正式にお迎えが決まった元気な男の子なのですが、この子を捕獲保護して下さったのは、フェレットを飼ったことがない、それどころか、「これまでペットを飼うということ自体、一度も経験がないんです」という若い女性でした。

今日のお話は、多くの方に聞いてもらいたいなって思います。

道にいるその動物が「人の助けが必要な動物なのか」が即座に分かる人は少ないです。

仮に、保護が必要だと思っても、即座に「保護の仕方」が思い浮かぶ人も少ないです。

フェレットを飼った事がない人はフェレットの事を知りません。

ペットを飼った事がない人はペットを飼うということがどういう事なのかを考えた事もないでしょう。

「動物と触れ合った事がないんです」と言っていた彼女が「知らない生き物」を保護してくれた。

今日はそういうお話です。

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保護された時から「この子を死なせちゃいけない」って皆に想われてきたフェレットのお話

「分からない事があってちょっと教えて頂きたいだけなのですが、お時間よろしいでしょうか。」

「あくまでも相談ベースで聞いて頂きたいだけなのですが」

とても丁寧な口調でしたが、その電話は何かとても緊張しているような、まるで高い壁のむこうから「こちらへは一歩も入り込んでこないで下さい」と訴えるような怯えたようなピリピリとした空気がビンビン伝わってくるような終始そんな雰囲気でした。

後からですが、実際に彼女から「電話をするのにすごく勇気が要った。すごく怖かった。」と聞きました。

ここをずっとお読み頂いている皆さまに、いたちのおうちがどう写っているのかは分かりませんが、少なくとも「何をしているのか分からなくて信用できない/怖い」という事はないと思うのですよ。

ですが、初めて保護した可愛い生き物がフェレットだった。フェレットのことも分からないし、保護の事も分からない。だから、急いで「フェレットの保護」で調べたらたまたま出てきたところにとりあえず電話をした。

という状況だったら、どうでしょう?

電話をしてみたは良いけど、「保護っていうのはね!」みたく高圧的にギャンギャン言ってこられたらおっかないし、なんかウザイ事言ってこられたら嫌だなって身構えちゃいません?

私なら過剰なくらい構えますね。

自分でいうのもなんなんですが「保護活動者」って、何かよく分かんないけどなんか怖いですもん(笑)

だから、ビンビンに緊張感漂うそういうお電話はよくあります。分かります。

※こちらは、いつでもどんな時でもフェレットのためにありがとうございます。勇気を出して連絡をくれてありがとうございます。という気持ちです。
アタチはなこ
アタチはなこ

その時のお話も、フェレットを保護してくださった彼女の善意に感謝を伝え、私はフェレットの保護に関してはすっごく詳しいから「何でもお手伝いできますから困った事や分からない事があったらまたいつでも連絡を下さい」で終わりました。

「この子はどうなっちゃいますか?」この子がもう怖い目に遭わないよう必死で守ってくれた捕獲主さん

これは我われ昭和世代から流布され続けてきたこと、私たち保護活動者が未だ払拭しきれずに今日まできてしまっていること、のまさに典型なのですが、お巡りさんに「警察署に置いておくことはできないから、あなたが預かれないのならこの子は別の施設へいくことになる」と言われたら、怖いことを想像してしまう一般の方はまだまだ多いです。

皆さんも「警察署では預かれないから誰かが引き取らないと殺処分になるそうです」みたいな投稿をSNSなどで一度は見たことがあるのではないでしょうか?

「殺処分にする/しない」をその場で決められる権限はお巡りさんにはありませんし、令和のこの時代にお巡りさんがそんな事を言うはずがないのですが、なぜかそうとても極端な怖い言葉がさもそうであるかのように結論付けられ噂としてでも出てしまうのは、私たち活動者の声のあげ方がまだまだ足りていない証拠ですから、申し訳なくさえ思います。

本当はただ「警察署には適切に飼養する場所がないから愛護センターやその他の施設(※いたちのおうちはこちらに含まれます)で保管期間を過ごすことになります。その前に、捕獲してくれたあなたへあなたのお家で預かる事はできませんかと聞いています」という内容なだけのはずなのですが、なんとなくぼんやりとでも頭の片隅に『怖いことになる流れ』が浮かんでしまっていたら、「早くなんとかしないと殺されちゃう」って慌ててしまうのは優しい気持ちがあるから、それは人として当然だよなって…

今回の件で、(過去にそういう事があったとか無かったとか、今の法律がどうとかこうとかは関係なく)それが多くの一般方の認識でまだある事は私たち保護活動者のこれからの大きな課題の一つであると再確認できました。
アタチはなこ
アタチはなこ

ゆでたろうちゃんの保護主さんも、一度預けた警察署から「あなたが預かって欲しい」と上記のような電話がかかってきて「パニックになってしまって」と言っていました。

パニックになりながらも、自分が預かれないと言ったらあの子が怖い目にあってしまうかもしれないって、急いでお仕事の休みをとってお迎えの準備をしてくれたそうです。

最初にもらった電話で、

「シッポの付け根から剝げているのですが」

「それは副腎疾患という病気かもしれません」

というやり取りをしました。

だからなのでしょう、警察署へお迎えに行く前にフェレットを診られる病院を探して、「迷子を預かること、お尻がはげていること」を伝えたうえで「自分はペットを飼ったことがなくフェレットの事がなにも分からないから元気かそうじゃないかも判断ができない。だから」って、健康診断をしてあげて欲しいと病院の予約を取ってくれていました。

また、ペットショップへも行って、事情を伝えて、お迎えセット一式を買って、お部屋の準備もしてくれていました。

お迎え準備として完璧すぎて、後からそのお話しを聞いた時には本当にビックリしました。

こちら見えますか?(といっても、個人情報や警察署とのお約束事などが記載されているためぼかしてあります)

保護の書類

A4用紙2枚に裏までビッシリ、ゆでたろうちゃんを保護した時からのことが書かれています。

分からないながらも一生懸命フェレットのことを知ろうと、この子のことを守ろうと、この子のことを知ってあげようと、自分1人で何とかしなくちゃ、この子を安心させてあげるんだ、ってずっと気を張って頑張って過ごしてくれていたことが分かる大切な記録。ゆでたろうちゃんの一日目からの貴重な資料です。

私に連絡をくれるまでにもう十分すぎるほど「フェレットのために」心も時間もお金も使ってくれていたことが分かります。

ありがたいです…

この子に何かあった時、私では対応できないかもしれないから…という責任感

二回目に連絡をもらった時、彼女はゆでたろうちゃんをお迎えに行ってくれた時も病院へ連れて行ってくれた時も会社を休んで時間を作ってくれていた事を知りました。

そのうえで、仕事柄この先もこんな風にしょっちゅうしょっちゅうお休みをたくさん取ることは難しいこと、それよりもまず、夜遅くまで帰れないこともあって、その間にこの子に何かがあったら自分にはその責任がとれない、自分はフェレットを知らないし、ペットを飼ったこともないから、本当は体調が悪くなってるかもしれないのに気が付いてあげられないで仕事へ行ってしまってそれで何かあったら…って考えてしまって。そんな事は絶対にあっちゃいけない事だと思ってるから。

って、ゆでちゃんの事を大切に大切に思っているからこその「この子をお任せする事はできますか」と、いたちのおうちへ託して下さいました。

自分が預かれると言ったのに無責任は重々承知ですというような発言がでた時にはちょっと大きめの声が出ました。

なんにもどこにも無責任なことなんて1ミリも1ミクロンたりとも無いです。

むしろよく、本当によく、今日までフェレットのために尽力して頂いたことに感謝です。ありがとうございました。

「後はお任せください。期間満了日までしっかり責任をもって預かり代行を務めさせて頂きます。」

という事で、お迎えの日にちをお約束していざ当日

真新しい大きなケージに大きなトイレ、トイレ砂、洗い替え用かな?ハンモックも2枚にオモチャまで。

本当に充分すぎるお迎えセット一式と可愛らしいキャリーバッグにはいった可愛らしいゆでたろうちゃんをそのままお引き受けしてきました。

スムーズに繋がる「この子が大切」のバトン

健康診断できちんと検査をしてもらった結果「副腎疾患ではないといわれました」って、ゆでたろうちゃんの姿がこちら。

(※お引き受け直後の写真がないのでこれは数日後のお写真)

フェレット脱毛

お引き受け完了直後、車からそのまま知人に報告をしました。

検査結果ももちろん一緒に預かってきていますので、それを見ながら「~という事なのですが、やっぱり脱毛の仕方がどうしてもちょっと気になります。」

「こちら今から病院なのですが一緒に診てもらいますか?」

「できますか?」

「整理券とっておきますね」

という流れで、そのまま知人のかかりつけの病院で一緒に診てもらう事になりました。

そちらの先生の診断もやはり「副腎には特に異常は見られませんね」という事で、栄養不良の疑いで様子見をすることになりました。

参考:栄養不良またはストレスと思われるフェレットの脱毛

ここまでの経緯、先生に言われたことを持って、ちょっとゆでたろうちゃんの今後を相談させてもらいたくそのままその知人宅へお邪魔させてもらったのですが、まだ「お邪魔します」の挨拶も済んだか済んでいないかくらいのタイミングで

「はい!できましたよ!こちらへどうぞ!!」ってパパさん。

「え?」

「二人の話し合いがどれくらい時間がかかるか分からないけど、その中じゃ可哀想だよ。トイレもゆっくりできないだろうし、5分でも10分でも少しでもこっちでノンビリ過ごせば良いじゃない。はいどうぞどうぞ。」って、広々ケージをパッパッパッパってものの数分足らずで用意してくれていました。

実は病院について一番にゆでちゃんを抱っこしてくれたのはパパさんです。

今、思えばその時から何かあったのかもしれないなぁ…

栄養不良の疑いで経過観察(様子見)ということで…

あくまでも「預かりさんの代行」なので、少しでも預かりさんのお家に近い方が良い。

また先生を変えて1からになるのではゆでちゃんの負担にもなるし出来ればこのまま同じ病院へ通ってもらう事が理想。

等々と話し合っていたら、

「おぉ!初めての場所でも上手にトイレできるのかい?すごいじゃないか。」って、むこうの部屋からパパさんの声。

保護フェレット

「…条件もピッタリだし、このままうちでお預かりをお引き受けさせてもらうっていうのはどうでしょうか?」

「え…そんな急に…良いんですか?」

パパさんの方へ向かって「いいよね?」

「もちろん!」

という事でそのまま期間満了…を待たずに、まずはこちら見て下さい。

保護フェレット

ふっさふさ!!

定期的にその後の様子を報告してもらっていたのですが、何回目だったでしょうかこの写真を送ってもらった時には思わず「これは誰でしょうか?」と聞いてしまいました。

もちろん、ゆでたろうちゃんですよ。

「順調に回復しています」からの満了日には「このまま我が家でお迎えさせてください」で、すんなりそのままずっとのお家へ、正式譲渡決定です。

本当にありがとうございます。

ゆでたろうちゃんの医療費ご報告

こちらでお引き受けしてからの医療費はそのまま里親さんに負担して頂きましたので、保護主さんが負担して下さった

保護フェレットの医療費

36,050円

皆様からのご支援をありがたく充てさせて頂きました。

また、揃えて下さった飼育セット一式は保護主さんより全ていたちのおうちへの寄付としてくださいました。

保護主さん、預かりさん、多くの皆さまのお陰でいたちのおうちは成り立っています。

本当にありがとうございます。

今回はたまたま優しい彼女に見つけてもらって大切に保護してもらって大切にしてくださるお家へ繋がった命ですが、本来、フェレットは1人で外にいたら事故その他で死んでしまう事も多いのです…

いたちのおうちは「保護を必要とするフェレットがいない/でない」ペット社会を目指して活動をしています。

これからも皆さん、よろしくお願いいたします。

健やかなニョロニョロ生活を☆彡

-いたち(フェレット)
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